バイオファンが引き起こす流れの理論

温度成層解消条件

始め(t=0 [日])の時点で、水温が一様になっている水深はH0 [m]であった。これを水深 H [m] のところまで一様にしたい。それに要する日数t [日]は次式で算出される。

t =
ρσκQ
(H0 + H0 L + L2) exp
(H − H0)L
12
(H02 + H2) − HL − L2
(5-1)

ただし

L =
9.1×102S
K
ρσγQ
(nPε2)
 [m]
  • t;水温の一様化に要する日数 [日]
  • H;水温の一様化を図る水深 [m]
  • S;水温の一様化を図る水域の面積 [m²]
  • Q;1m²の水面に、1日で流入する熱量※1
      2月20日〜5月20日 610[Kcal/m²日] 5月20日〜7月20日 450[Kcal/m²日]
  • κ;水深方向への水温の変化率
      7月 → 3.1 [℃/m] 8月 → 1.6 [℃/m]
  • K;熱輸送係数 0.6
  • ρ;水の密度※2 996.4[Kg/m³]
  • γ;水の密度の温度変化率※2 0.28[Kg/m³℃]
  • σ;水の比熱 1[Kcal/Kg℃]
  • ε;水掻き羽根の形状係数
  • P;水掻き羽根を回すパワー(電力) [W]
  • n;バイオファンの使用台数

 温度成層を解消するには三つの条件を満たす必要がある。先ず、水温の一様化に要する日数、つまり、上式(5-1)で算出した日数 tが8日以内でなければならない。15日以内でも良いと思われるが、まだ実験で確認する機会を得ていないので、これは今後の宿題である。次に要求されるのは、対象水域の面積Sが、(2-1)式のバイオファンの流れがおよぶ範囲の面積(活性化面積)S0より小さいことである。
 重要なのは、水底から水面に上昇する流れの流速である。これが速過ぎると、低温の重い水も引き上げてしまうので、上げた水がすぐに水底に降下してしまう。温度成層を解消するには、力任せに水を引き上げないで、無理をしないで、静かに多量の水を上昇させるようにするのが基本である。

《温度成層解消条件》

条件I t ≦ 8[日]

条件II S ≦ S0[m²]

条件III 上昇流速 ≦ 0.1[m/s]

S0;バイオファンの流れが及ぶ面積 (2-1)式参照

※1 水面に出入りする熱量の経日変化(実測値)参照
※2 25℃と30℃における密度と、密度の温度変化率の平均値